enchanのメモ書き

計算機とフリルとラブライブ!

プリンタのフロントパネルからLCDを取り出す

前回に引き続き出土品シリーズ2回目です。今回はタッチパネル液晶が出土したので、少し見ていこうと思います。

前回の記事はこちら。

enchan1207.hatenablog.com

(駆動部の分解が完了したらまた更新します、しばしお待ちを…)

出土品紹介

今回出土したのはEPSONのプリンタ、EP-977A3です。2014年9月発売。

A3サイズまで印刷することができ、4.3型のLCDがフロントパネルに取り付けられています。 高専入試の書類から実験実習のレポートまで随分長いこと活躍してくれたのですが、2020年の春に完全に壊れてしまい、それ以降は倉庫に眠っていました。

こちらも今回の清掃で捨てる流れになったので頂戴することにしました。わくわく。

分解

分解は 想像以上に大変でした。 省スペースに収めるための工夫が至る所に散りばめられており、FPCを傷つけないように外すのだけでも一苦労。かろうじて何かしら手を出せそうなフロントパネルとメイン基板のみ取り出し、あとはゴメンナサイすることにしました。

上がメイン基板(本体底面左に配置)、下がフロントパネルの基板(以降サブ基板)です。これらは22ピンのフラットケーブル1本で接続されていました。電源や通信などはすべてこのケーブルで賄われていたようです。

LCDとタッチスクリーンです。タッチスクリーンは抵抗膜方式の いつものやつ です。

解析

メイン基板を解析しても仕方がない(ここ以外のパーツはすでに廃棄済)ので、先にサブ基板から見ていきます。

基板は非常にシンプルなつくりになっています。実質ワンチップ。
MCUはオリジナルの型番のようだったので詳細は分からず。ASICでしょうか?

続いてLCDを見ていきます。

45ピンのフラットケーブルが生えています。FPC上には多くの部品が実装されているようですが、実装面は粘着力強めのテープで保護されていて確認できませんでした。

ディスプレイ表面右下には「AUO」 の表記があります。台湾の液晶パネル製造会社 AUO Display Plus (達擎股份有限公司) の製品なのでしょうか?

https://www.auodplus.com/ja-JP/general_display/gd_overview

裏面にはシリアルナンバーのような刻印がありました。

そのままググったところAliExpressの商品ページがヒットしましたが、詳細は分からず。

深堀り

思った以上にICから得られる情報が少なく、このままでは何のために分解したのかわからないので、もう少し頑張って深掘りしてみます。
LCDだけは独自設計ではなさそうなので、ここを起点に調査します。

刻印が入っているからには、このディスプレイはAUO Displayのそれで間違いないはずです。産業用LCDベンダの台湾 Spectrah Dynamics 社のカタログページから、該当しそうなものを探ります。

https://www.spectrah.com/product/lcd_panel/auo_lcd_panel.htm

想像以上に数が多いので、軽く当たりをつけます。

  • 製品発売日が2014年 → モデルチェンジの可能性を考慮しても、2016年以降の製品とは考えにくい?
  • 45ピンコネクタ
  • 4.3インチ(対角線ではなく長辺が (これ何…??))

ここまで絞るとかなり選択肢は限定されてきます。まず「Consumer LCD Panel」「LCD TV Panel」および「Notebook LCD Panel」は選択肢として除外でき、残った「Industrial LCD Panel」の中でもサイズの小さいものだけ調べれば🆗。
AUOの産業用LCD製品の型番は G[インチ数][液晶タイプ][モデルバージョン?] のようなルールに従って付番されているので、今回のターゲットは G043 で始まるはずです。

これらに加えFPCの寸法等を考慮して絞り込んだ結果、このLCDは G043FTT01.0 の可能性が最も高いという結論に落ち着きました。製品生産時期も2011年11月から2019年9月となっているので、プリンタの製造日にちょうど合致します。

ほんとに?

…実は、プリンタから取り出したディスプレイとG043FTT01.0には、図面と異なる部分があります。 図面では厚さ4.13mmとなっているところが実際は3mm程度だったり、重量が59gとなっているところが実際は40g強だったりと、ちょっと怪しい項目がちらほらと…

合致する項目(ディスプレイサイズ、ピン数、FPC寸法、外装幅/高さ…)の方が圧倒的に多いので気にしないこともできなくはないのですが、もう少し確証を得たいところ。

そこで…

サブ基板を読む

サブ基板の配線を読んでいきます。

まず気になるのは8本ごとにまとめられた3組の配線です。MCUから47Ωの集合抵抗(黄緑の矩形)を通って直接LCDへと入力されています。 (水色の矢印は裏側で結線されていることを示します)

データシートのピン配置と照らしてみると、赤の矩形はRed Data Signal[7:0]、橙の矩形はGreen Data Signal[7:0]、桃の矩形は Blue Data Signal[7:0] にそれぞれ相当しそうです。
これ以外のピンはちょっと見づらいので、アングルを変えます。

ピンの具体的な機能はデータシートから持ってきているのでこれと決まったわけではないのですが、少なくとも接続は一致しています(制御ピンはMCUへ、電源ピンはサブ基板の電源を通ってメイン基板のコネクタにつながっている)。
また、このピン配置を見て初めてわかったことですが、このディスプレイにはもともとタッチパネルが搭載されていた可能性があります。(プリンタから取り出したLCDにはタッチパネルはついていなかったため、該当するピンはNCとなっています)

このことから、重量や厚みが一致しない理由は「本来はタッチパネルがついた状態で販売されているが、(カスタム等の要因で)手元のモジュールにはタッチパネルがついていなかったから」だと予想できます。

ここまで一致すれば…ほぼ確定といっても…よいのではないでしょうか?

つづく

2連続で変なところで切ってしまうのが非常に申し訳ないのですが、現状ここまでしか解析が進んでおらず…
最低6MHzでCLKを出す必要があるようで、どう組んだものかと悩んでいます。

ドローンの記事と同様、こちらについても随時更新とさせてください…

🐈…トテトテトテトテ